放課後デイ中1死亡 過去にも2回飛び出し 施設、対策せず放置か
毎日新聞 2023/12/14(木) 11:47配信
大阪府吹田市の放課後等デイサービス施設で2022年12月、中学1年の男子生徒(当時13歳)が送迎車を降りた直後に走り出して近くの川で死亡した事故で、この生徒が過去にも2回、同様に車から飛び出していたことが府警への取材で判明した。施設側は送迎時に職員2人で対応すると両親に約束していたが、職員は事故時と同じく1人だけだったとみられ、府警は問題のある対応が常態化していたとみて調べている。
死亡したのは、施設「デイサービスアルプスの森」に通っていた清水悠生(はるき)さん。障害があり、突然走り出したり、水に強いこだわりを見せたりする特性があった。府警は12日、送迎時に職員2人で対応させず、施設外に飛び出した清水さんを川で溺死させたとして、施設運営会社代表の宇津(うづ)慎史(しんじ)容疑者(60)らを業務上過失致死容疑で逮捕している。
府警によると、施設で「事故報告書」を押収した。そこには、清水さんが18年3月に施設で降車後に突然走り出し、近くの水路で遊んでいるのが見つかったとの記載があった。けがはなかった。降車時に対応した職員は1人だけだったとみられ、改善策として「必ず複数の人員で送迎車の乗り込みを行う」「ドアの開閉に気を配る」などと書かれていたという。
さらに、別に押収した「ヒヤリハットメモ」には、清水さんが19年12月、施設駐車場に到着した車から走り出そうとし、すぐに職員が捕まえたなどと記載されていた。この時も対応した職員は1人だったとみられる。府警は、事故につながりかねないケースが2回あったにもかかわらず、宇津容疑者らが対策を怠ったとみて捜査を進める。
府警は14日、宇津容疑者らを送検した。【洪玟香、林みづき】